躍進の原動力は「最高硬度9H」ではなかった。
SAVERは時代のニーズをどう捉え、商品化されたのか?
今だから話せる「開発秘話」を創業者が語る。


小島尚貴 SAVER創業者・オーナー 

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奥寺弥生 SAVER事業部マネージャー


スマホやタブレットなどのモバイル機器の画面に液体ガラスを塗装し、9Hの硬度で画面を保護しながら美観を維持するスマホコーティングサービス、SAVER。


2015年12月の創業から3年もたたないうちに、加盟店は全国で400人(社)に迫り、輸出実績は世界30ヶ国を超えるほどに成長した。


スマホ市場には、SAVER創業時の予測通りに曲面ガラスの機種が増え、昨今のiPhone ⅩS発売を機に、SAVERをスマホにコーティングしたいという需要はさらに高まっている。


お客様と加盟店はなぜSAVERを選び、自分の仕事や事業の中に、どのようにSAVERを位置付けているのか?創業者とマネージャーが現場目線で対談を行った。


(取材・録音・構成 小島舞 2018年9月26日)


小島尚貴 福岡出身。西南学院大学在学中に海外勤務試験に合格し、マレーシアの貿易会社に入社。経済誌出版社にて記者・営業企画を担当した後、25歳で独立。現在はJ-Tech Transfer and Trading代表として、8ヶ国語を駆使しながら、国際技術移転や輸出入事業を手掛ける。得意分野は建設資材、ケミカル製品、省エネ機器、加工食品、農業資材。八代市の海外流通アドバイザー、公益社団法人・福岡貿易会の貿易アドバイザーも担当している。

奥寺弥生 熊本出身。短大卒業後、大手書店に勤務し、のち独立。SAVERでは、ブランド名が決まる前の準備段階から創業に携わり、施工手順や加盟手続き、お客様フォローの仕組みを構築。施工台数は通算800台を超え、施工研修講師として、全国から訪れる新規加盟店の研修も担当。現在はSAVER事業部マネージャーとして、加盟店のサポートやさらなる基盤整備に励んでいる。



◆素人目線で作られたから、時給が日給を超えられる仕事に育った

奥寺 先日、昔の手帳を読み返していたら、3年前のちょうど今頃、博多駅の近くで小島さんとの打ち合わせを入れていました。あの時、初めてSAVERと出会ったことを思い出します。

小島 懐かしいです。あの時はまだSAVERという名前もない、ただの液体でした。この液体の化学式を知った時、真っ先に相談しようと思ったのが奥寺さんでした。

奥寺 えぇ?私に?化学とか、塗装とか、工業技術に詳しい方なら、小島さんの周りにたくさんいたのに。

小島 詳しい人に相談したばかりに失敗する事業も多いんです。知識がある人は、えてして、知識に溺れて客や相手が見えなくなる。難しさや詳しさ、新しさに勝手に価値を設定し、ニーズと関係ない部分を自慢したり、誇張したりすることもある。技術で勝っても、ビジネスで負けては意味がないでしょう。良いかどうか、価値を決めるのはお客様です。作り手が押し付ける価値には何の意味もありません。

奥寺 なるほど。いつも言う「モノに合わせて客を探すのではなく、客に合わせてモノを作る」ということですね。素人の代表として声をかけてもらって嬉しいです。私ができるのを見たら、みんな、「自分にもできる」と思うでしょうから。

小島 第1号の加盟店が奥寺さんだったから、SAVERの加盟店様はもう、400名近くになりました。他の人だったら、そうはならなかった。

奥寺 私も色んな商品を取り扱ってきましたが、SAVERのように働きやすく、あらゆる要素でバリアフリーの仕事は他にありません。もちろん、製品やシステムが優れていることが大きな理由ですが、こんなに働きやすく、稼ぎやすい製品には初めて出会いました。

小島 その「働きやすい」、「稼ぎやすい」は奥寺さんが作った価値です。テクノロジーは正しく現実に適用されれば、生活の中に常識を変えるような変化を起こすものです。私はこの化学のテクノロジーを、こういう分野から最も縁遠い主婦層の方々にも使いこなしてもらえるようにしたかった。でも、私はもう、素人の視点やセンスを持つことはできません。SAVERが「誰でもできる仕事」になるためには、奥寺さんのように平凡な常識を持ち、中立、公平に物事を受け止められる女性の協力が不可欠でした。

奥寺 SAVERは創業前から関わってきて、SAVERのいろんな部分が個人的にも大好きですが、やはり、本音を言うと、一番気に入っている理由は「稼げる仕事」だからです。一度SAVERでの稼ぎを経験すると、世の中で何がどうお金になるのか、以前よりよく見えてきた気がします。SAVERで、時給が日給を超えた経験が何度かあり、「お客様のほうから私を探し、問合せ、申し込み、支払い、喜んで帰って下さる」という仕事がどれだけすごいか、800台以上施工した今も、いつも感動しています。

 

 

◆3年がたち、今では新機種発表と同時に施工予約が入るサービスに

小島 「みんなが望んでいること」を、他の人にはできないサービスで表現できれば、お客様は自動的に集まってくるものです。逆に、誰もができるサービスや、お客様からは同じものにしか見えない製品で、お客様が時々しか考えないことに対応しようとすれば、営業や集客が苦しくなり、同業他社の中傷や業界全体のイメージダウンが起こります。SAVERの製品上の特徴は、副業に付き物の無駄な競争や営業努力を一気になくせると思いました。

奥寺 小島さんがSAVERの創業に当たって、製品の技術面の優位性をまとめる前に、ランダムに選んだ人たちと次々と面談して、「世の中の副業の嫌なことを教えて下さい」と取材していた姿を思い出します。普通なら、類似や競合の製品から調べることが多いのに。

小島 あぁ、それは、私が昔、経済誌の記者だったからかもしれません。私がやる仕事はお客様の問題解決であって、同業他社と競うことではありません。

奥寺 その結果、世の中の副業に付き物の「加盟金が高い、ノルマがある、更新料や維持費がある、口コミが起こりにくい、相手に怪しまれる、陰口を言われる、人の目が気になる、最初にまとまった出費がある、話を切り出すタイミングが気になる、人間関係に影響を及ぼしかねない、仕込みに時間がかかる、廃棄処分の費用がバカにならない、仕入れが苦しい、在庫がたまって収入を圧迫する、支払いを受け取るまで時間がかかる、お客様の決断がはっきりするまで時間がかかる・・・」という問題が、SAVERでは創業時からなくなってしまいました。

 

 

小島 良い仕事は、ただ、「知らせる努力」だけを継続すれば営業が成り立つものであるべきです。楽しく案内でき、後ろめたさを感じずに紹介でき、正々堂々と提案していける仕事を作り上げるのは、作り手の義務です。

奥寺 まったく、その通りです。私も今まで、フェイスブックで定期的に発信する、初めてお会いした方にはSAVERの名刺とチラシをお渡しする、施工して下さった方にはお礼のメッセージをお送りする、という努力以外は何もしていません。大したことはできませんが、こういう小さなことなら、習慣づけて続けてきました。

小島 たったそれだけなのに、奥寺さんのお客様の広がり方とリピート率は本当にすごい。

奥寺 SAVERは、途切れることなく紹介が生まれる点がすごいです。喜ばれて紹介が生まれる仕事って、少ないんですよ。普通はこちらが「お客様を紹介して下さい」とお願いすることが多いし、それを嫌がる方もいるのに、SAVERはお客様が自分から自慢し、発信し、友達に宣伝してくれます。私のお客様のうち、200名ほどはリピーターです。「機種変更=SAVER」と頭の中にインプットされていて、最近は「来週あたりに機種変更だから、またSAVERをお願いしていいですか?」とご連絡を頂きます。普通の副業なら、こちらから時期を見計らって、追加注文やリピートの可能性を恐る恐る確認するのに。

小島 スマホは誰もが毎日持っていて、買い替えは日常生活でそこそこ大きな出来事ですから、SAVERは思い出されやすい。一度SAVERを体験したら、保護フィルムに戻ることはできません。

奥寺 iPhoneユーザーの大半がiPhoneを買い続けるように、SAVERユーザーも、ずっとSAVERを塗りたがります。たとえ画面が割れたとしても。「新しいスマホをかっこよく使いたい=SAVER」、「新機種=SAVERで守る」というのが私のお客様の中では当たり前のことになっていて、最近は、話題の機種が発売されるニュースを見ると、「わぁ、また収入が増える!」って、こっそりワクワクしてしまいます。自分がその機種を買うわけじゃないのに(笑)。

小島 iPhoneやギャラクシーの新機種が発表されると、加盟店様からのご注文が一気に増えます。この3年で、SAVERのご注文が新機種の発売より早い時期から増えるようになりました。つまり、新機種を購入されるお客様が、購入とセットで「またSAVERを塗ってもらおう」と考え始めたということです。去年からは、新品のスマホを箱ごと持ち込んでSAVERの施工を依頼するお客様も日本各地で増えてきました。

 

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